THE NOVEMBERS

THE NOVEMBERS『Before Today』リリース記念インタビュー企画第二弾 〜 PELICAN FANCLUB

THE NOVEMBERS『Before Today』リリース記念インタビュー企画第二弾 〜 PELICAN FANCLUBTHE NOVEMBERS『Before Today』リリース記念インタビュー企画第二弾 〜 PELICAN FANCLUB

特別インタヴュー第二回目は、4人組ロック・バンド、PELICAN FANCLUB。シューゲイザーやドリーム・ポップ、ポストパンクといった80~90年代UKロックからのルーツを感じさせながらも、現在進行形のロック・ミュージックへと昇華させた彼らの楽曲は、確実に注目を集めている。とりわけエンドウ アンリ(ヴォーカル/ギター)の、エリザベス・フレイザー(コクトー・ツインズ)をも彷彿とさせる伸びやかで中性的な歌声と、クルマダ ヤスフミ(ギター)のブリリアントかつエクスペリメンタルなギターはこのバンドの肝といえよう。
THE NOVEMBERSはファースト・アルバムから聴き続け、ソングライティングからサウンドメイキングまで多大なる影響を受けてきたというエンドウとクルマダ。今回はそんな2人に“ファン目線”でTHE NOVEMBERSの魅力について大いに語ってもらった。(インタヴュー・文/黒田隆憲)

――お二人が最初にTHE NOVEMBERSを聴いたのはいつですか?

クルマダ:僕は大学に入った年で、ちょうど1枚目の『THE NOVEMBERS』が出たときでした。それまではJUDY AND MARYやBUMP OF CHICKENとか、The Beatlesからブルースロックなど洋楽邦楽とかを気にせずに色々を聴いていて、高3くらいからsyrup16gなども聴くようになったのですが、日本のインディーロックやギターロックなどはそれほど知らなかったんですよ。『THE NOVEMBERS』はジャケットに惹かれてたまたまタワレコの試聴機で聴いて。それでもう、すぐにのめり込んでいきましたね。

エンドウ:僕も『THE NOVEMBERS』の「Exit」が最初でした。クルちゃんと同じで色々聴いてはいて、例えばsyrup16gやBURGER NUDS、Jimmy HendrixやNapalm Deathとか湘南乃風、海援隊などジャンル関係なく好きなものを沢山を聴いていたのですが、THE NOVEMBERSとほぼ同時期にMy Bloody Valentineも聴いて、それでどちらにもハマっていきましたね。THE NOVEMBERSは「歌モノ」という感じがしなくて、僕の中ですごく異質な存在だったんですよ。デモ時代の「白痴」とかもう衝撃的で。「アマレット」みたいな曲もあるのに、なんでこんな楽曲を?って(笑)。サビがどこにあるか分からないし、何か叫んでるし。「なんだこれ!」って思ったのは覚えています。

PELICAN FANCLUB

photo by 稲垣 謙一

クルマダ:その後、自分もバンド活動をするようになり、千葉で初ライブをしたときにエンドウと出会うんです。僕らのリハーサルが終わって、次のバンドがサウンドチェックしている時に、「こわれる」をやってるんですよ。「あれ?」って思って、リハが終わるや否や「今、THE NOVEMBERSの曲やってなかった?」って声をかけたのが彼だった。

エンドウ:そのあとは楽屋でずっと、THE NOVEMBERSの話をして意気投合したんですよね。

――じゃあTHE NOVEMBERSをリハでやってなかったらクルマダさんは声はかけていなかったかもしれないし、PELICAN FANCLUBも生まれてなかったかもしれませんね。

クルマダ:そうですね。僕ら年齢も離れてるんで、接点はなかったかも。

エンドウ:僕らがPELICAN FANCLUBを組んだ頃、ちょうどTHE NOVEMBERSはファースト・シングル『(Two) into holy』(2011年)とサード・アルバム『To (melt into)』(同年)を出した頃で、当時は自分の中で一番かっこいい作品だと思っていました。それから先も、もう何枚アルバムを出しても常に一番新しい作品が一番かっこいいっていうのを、ずっと更新し続けている。もはや存在そのものが新しくてカッコいいんです。それこそ今は、『Hallelujah』が一番かっこいいし。

THE NOVEMBERS / 黒い虹

――先日、川谷絵音さんにインタヴューしたら、まったく同じことを言ってたんですよ。「常に最新作が一番いい」って。

エンドウ:やっぱり! そう思えるバンドやアーティストってなかなかいないですよね。

――THE NOVEMBERSのルーツに関してはどうでしょう。例えばエンドウさんの書く曲には、コクトー・ツインズからの影響ってすごく大きいと思うんですけど、そういうルーツの部分で彼らと共感するところはありますか?

エンドウ:曲を聴いたり、曲名を見たりして「このバンドが好きなのかな」って思うことはありますね。僕、中学生の時に小林克也さんの音楽番組で、the pillowsの山中さわおさんがザ・キュアーを紹介しているのを観て。それからザ・キュアーが大好きになったんですけど、THE NOVEMBERSの楽曲を聴いたばかりの頃、「あれ、もしかして……?」と思って小林さんのブログを読んだら、ザ・キュアーの大ファンだということが書いてあったんですよ。そこから彼のルーツを探っていったら、案の定ドンピシャでした(笑)。

The Cure / Just Like Heaven

クルマダ:僕も同じですね。だから、THE NOVEMBERSと共通のルーツというより、THE NOVEMBERSのルーツに影響されて、ザ・キュアーやスミスを聴くようになったというか。でも、彼らの激しい曲調はどの辺りから影響されているのかな。ソニック・ユースとかは間違いなくあると思うけど。

エンドウ:随分前の話なんですけど、まだ「Figure 0」や「dysphoria」をやり始めの頃、曲名が決まっていなかったのかセットリストは仮タイトルになっていて。“ニルヴァーナ”“シェラック”って書いてあったんですよ(笑)。

クルマダ:そうだそうだ。スティーヴ・アルビニ周りの音楽は、THE NOVEMBERSとは別の流れで掘っていて、それが一致した時は「やっぱり!」って思いましたね(笑)。

エンドウ:日本だとBLANKEY JET CITYとか、L'Arc-en-Cielとか。僕らの世代はアニメの曲が流行ってたんで、例えばラルクは『鋼の錬金術師』の主題歌だった「READY STEADY GO」から入って、かなり聴きましたね。「Heavenly」や「TRUE」は大好きでした。

――PELICAN FANCLUBの曲作りや音作りでTHE NOVEMBERSを意識していましたか?

エンドウ:めちゃくちゃしてました。例えばライブでも、一瞬ふわっと浮いてから轟音になるところとか……なかなか言葉でうまく表現できないんですけど、あの瞬発力、爆発力みたいなものは相当意識しましたし、レコーディングでも取り入れていましたね。

クルマダ:エンドウが最初に持ってくるデモ音源を聴くと、ファズの使い方やアルペジオの入れ方など、やっぱりTHE NOVEMBERSが好きなんだなって思いますね。特に激し目の曲とかに表れる。

エンドウ:大体、PELICAN FANCLUBの前にやっていたコピーバンドのロゴも、THE NOVEMBERSを意識してましたからね、「THE BLUEBERRYS」って(笑)。

――字体までマネしたくなるほど好きとは(笑)。音だけじゃなく、佇まいにも魅力がありますよね。

エンドウ:そう、世界観が統一されているから、気がついたら夢中になっていたみたいな。

クルマダ:僕は小林さんのブログもよく読んでいますし、ケンゴさんのロックな生き方や立ち振る舞いもすごく好きですね。

――もし、THE NOVEMBERSをカヴァーするとしたらどの曲をやりたいですか?

クルマダ:めちゃくちゃありますね。実際に「ewe」とかカヴァーしてみたことありますし。

エンドウ:そんな話し始めたら、朝までかかりますよ?(笑) 新しいアルバムだったら「風」とかやりたいなあと思うし、激しめの曲なら「Arlequin」か「白痴」。綺麗な曲だったら「夢のあと」がいいかな。Cメロの展開が特に好きなんですよね。そうだ、「バースデイ」も絶対やりたいし、「dogma」も外せない。「永遠の複製」もメチャクチャ好きなんですよ。まあ、大体やりたいです(笑)。

THE NOVEMBERS / バースデイ

――では、今回THE NOVEMBERSのベスト盤『Before Today』を聴いた感想は?

エンドウ:2本のライブを見たような気分でしたね。実際のライブでも、「Romance」や「美しい火」のようなしっとりした曲で始まって、中盤で絶対「鉄の夢」をやるんですよ。で、一旦落として「こわれる」をやって、みんなウワーって盛り上がって「最近あなたの暮らしはどう」で終わるっていう流れ、見たことあるし。あるいはDisc2のように、激しい曲「黒い虹」で始まる時もある。「ああ、この感じこの感じ!」っていう。後半に「バースデイ」や「今日も生きたね」とか分かるわー、見たことあるわーってなる。

――(笑)。小林さんもインタビューで「1枚で1本のライブのセットリストのようになったらいいなと思って組みました」と話していますね(http://music.emtg.jp/special/20170910493ce2545

エンドウ:僕はそういう感覚ですね。この曲順で聴いていくと、「この曲終わりでMCするんだろうな」とか想像できるんですよ(笑)。聴いてて最後までドキドキするというか、オリジナル・アルバムとはまた違う感じ。

――並びによって、曲の聞こえ方が変わってくるということもありますよね。

エンドウ:ありますね。「keep me keep me keep me」も、オリジナル・アルバム『paraphilia』では「dnim」の後にくるからすごく優しく聴こえるけど、ベスト盤では「Sky Crawlers」という、しっとりとした曲の後なので淡々と聴こえます。

――「最近あなたの暮らしはどう」と「dysphoria」の新録はいかがでした?

THE NOVEMBERS / 最近あなたの暮らしはどう(Before Today ver.)

エンドウ:どちらも良かったですね。「最近あなたの暮らしはどう」の原曲は、オリジナル・アルバム『THE NOVEMBERS』の中では唯一フォーク・ソングみたいなアレンジだったけど、新録は“現在進行形のTHE NOVEMBERS”という感じ。「dysphoria」も別の曲みたいでしたね。ヴォーカルは荒々しさを敢えて残したままにしているというか、メチャクチャテンション高いなと思いました。

クルマダ:僕もどちらも良かったですね。「dysphoria」は、例えばイヤホンを選ぶときのリファレンスにしているくらい、オリジナル・ヴァージョンを気に入っていたんですけど、新録はそれを超えるくらい好きです。

エンドウ:新録って難しいじゃないですか。オリジナル・ヴァージョンをなかなか超えられないというか、当時の空気感が失われてしまうことへの“がっかり感”って、どのアーティストでもあるんですけど、THE NOVEMBERSはそれがないのが本当に不思議。やっぱり、「新しいTHE NOVEMBERSが常に最高」っていうことなんですかね。

――さて、来たる10月9日には埼玉の「HEAVEN'S ROCK熊谷」にて、PELICAN FANCLUBとTHE NOVEMBERSのツーマンライブが開催されます。最後にこちらへの意気込みも聞かせてもらえますか?

エンドウ:ハコで対バンするのはこれで2回目なんですけど、今日散々ファン目線で話してたことは一切忘れてバチバチに向かっていこうと思います。ベクトルは違えど、僕らもカッコいいことをやっているっていうのをTHE NOVEMBERSのファンにも見せて、驚かせたいです。その日は先輩でも憧れの存在でもなく、同世代のバンドと共演するくらいの気持ちでいたいなって思いますね。

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